『ご用件をどうぞ』Q&A

『ご用件をどうぞ』Q&A

国民年金保険料の育児免除制度
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 10月から子育て中の自営業者などの国民年金保....
(東愛知新聞 2026年9月23日掲載)

求職者へのセクハラも企業の責任に
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 10月から、求職者等へのセクハラ対策が義務....
(東愛知新聞 2026年9月16日掲載)

2026年10月から変わる社会保険の加入ルール
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Qパートやアルバイトの社会保険が適用される「....
(東愛知新聞 2026年9月9日掲載)

10月から最低賃金アップ 愛知は1,195円へ
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 10月から最低賃金が上がると聞きました。愛....
(東愛知新聞 2026年9月2日掲載)

残業「45時間超」一律指導を見直し
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 9月から、残業時間が月45時間を超えても、....
(東愛知新聞 2026年8月26日掲載)

退職予定者の有給休暇
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 退職予定の従業員から「残っている年次有給休....
(東愛知新聞 2026年8月19日掲載)

高額療養費制度
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 医療費が高額になった場合に適用される「高額...
(東愛知新聞 2026年8月5日掲載)

産業医が退任した場合の手続きが変更に
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 産業医が退任した場合の手続きが変わると聞き....
(東愛知新聞 2026年7月22日掲載)

高齢者採用助成へ追加要件
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 「特定求職者雇用開発助成金」について、高年....
(東愛知新聞 2026年7月15日掲載)

カスタマーハラスメント対策
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 厚生労働省の指針により、今年の10月1日から....
(東愛知新聞 2026年7月8日掲載)

中小事業主も労災保険加入できる?
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 労災保険についての質問です。中小企業の事業主....
(東愛知新聞 2026年7月1日掲載)

労災保険料の「メリット制」
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 今年も労働保険の申告書が届きました。同封案....
(東愛知新聞 2026年6月24日掲載)

「パートタイム・有期雇用労働法」の改正
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 「パートタイム・有期雇用労働法」が改正さ....
(東愛知新聞 2026年6月17日掲載)

有給休暇を取得した月の皆勤手当
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 給与計算を担当している者です。以前より疑問に....
(東愛知新聞 2026年6月10日掲載)
年次有給休暇の時間単位付与
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 子どもの通院のため3時間遅れて出勤しました....
(東愛知新聞 2026年6月3日掲載)
有給休暇の「分割付与」
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 先日、「年次有給休暇の分割付与」という話....
(東愛知新聞 2026年5月27日掲載)

有給休暇の「前借り付与」
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 今年4月入社したばかりの新入社員が体調不良....
(東愛知新聞 2026年5月20日掲載)

給与計算時の端数処理(賃金単価Ver.)
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 人事労務担当者です。前回の給与計算における....
(東愛知新聞 2026年5月13日掲載)

給与計算時の端数処理(労働時間Ver.)
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 会社の人事労務担当者です。給与計算を行う際....
(東愛知新聞 2026年5月6日掲載)

育休取得者退職の離職票
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 育児休業を2年ほど取得した社員が、やむを得....
(東愛知新聞 2026年4月22日掲載)

ストレスチェック
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 「ストレスチェック」の実施が、労働者数50....
(東愛知新聞 2026年4月15日掲載)

労災に健康保険を使ってしまったら
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 仕事帰りにケガをした従業員が病院に直行し治....
(東愛知新聞 2026年4月8日掲載)

傷病手当金(入社直後版)
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 入社間もない社員が体調不良で1か月ほど休....
(東愛知新聞 2026年4月1日掲載)
令和8年4月からの「在職老齢年金」
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 働きながら年金を受け取ると減額されると聞....
(東愛知新聞 2026年3月25日掲載)
残業手当に対する割増の必要性
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 飲食店を営んでいます。先日、来店客が多かっ....
(東愛知新聞 2026年3月18日掲載)
令和8年度の年金額
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q もうすぐ4月を迎えますが、令和8年度の年....
(東愛知新聞 2026年3月11日掲載)
産休・育休中の経済的支援について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 先日、社員より懐妊の報告を受けました。産休....
(東愛知新聞 2026年3月4日掲載)
介護職員等処遇改善加算とは
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q このほど訪問介護事業を立ち上げる計画を立て....
(東愛知新聞 2026年2月25日掲載)
仕事中のけがで病院にかかったら
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 仕事中に誤って指を負傷してしまった社員が病....
(東愛知新聞 2026年2月18日掲載)
カスタマーハラスメント対策の義務化
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義....
(東愛知新聞 2026年2月11日掲載)
子育て支援給付金
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 今年4月から「子ども・子育て支援金」が導入....
(東愛知新聞 2026年2月4日掲載)
春(4〜6月)の残業は社会保険料を高くする?
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 会社の先輩から「4月・5月・6月に残業が多い....
(東愛知新聞 2026年1月21日掲載)
退職日変更による給与額の逆転現象
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 12月31日退職予定だった社員が、事情により1....
(東愛知新聞 2026年1月14日掲載)
労働基準法改正先送り、時間規制「強化」から「緩和」へ
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 2026年に労働基準法の大改正が予定されて....
(東愛知新聞 2026年1月7日掲載)
育休明けの有給休暇付与日数について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 育児休業を取得した社員が年明けに職場復帰....
(東愛知新聞 2025年12月24日掲載)
130万円の壁が変わる?
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 2026年4月から「130万円の壁」が変わると....
(東愛知新聞 2025年12月17日掲載)
特例措置対象事業場とは?
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 美容院を2店舗経営しています。スタッフは....
(東愛知新聞 2025年12月10日掲載)
入社間もない傷病手当申請について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 会社の労務担当者です。先月10月1日に入社....
(東愛知新聞 2025年12月3日掲載)
夫婦ともに収入がある場合における被扶養者認定
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 会社の労務担当者です。このたび第1子を出産....
(東愛知新聞 2025年11月26日掲載)
有給休暇の時期変更権について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。Q 会社の労務担当者です。社員より有給申請があ....
(東愛知新聞 2025年11月19日掲載)
最低賃金額以上かどうかを確認する方法
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 令和7年10月18日、愛知県の「最低賃金」が改....
(東愛知新聞 2025年11月12日掲載)
年収の壁(社会保険版)について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 「年収の壁」がたくさんありよく分かりません....
(東愛知新聞 2025年11月5日掲載)
日よって時給が違う場合の割増賃金
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 飲食店を経営しています。来客状況やアルバ....
(東愛知新聞 2025年10月22日掲載)
年次有給休暇の事前申請
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 会社の経営者です。当社の就業規則には、「年....
(東愛知新聞 2025年10月15日掲載)
パートやアルバイトの有給賃金について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q パートやアルバイトの方が多い会社の経営者....
(東愛知新聞 2025年10月8日掲載)
ダブルワークの労働時間
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 会社の経営者です。入社後、副業を始めた....
(東愛知新聞 2025年10月1日掲載)
有給休暇について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 有給の更新にあたり「次年度の有給休暇は0日....
(東愛知新聞 2025年9月24日掲載)
19歳以上23歳未満の扶養認定基準について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 19歳以上23歳未満の人が扶養される際の基....
(東愛知新聞 2025年9月17日掲載)
出張のための移動時間は労働時間か?
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 出張のため、現地へ前日移動することになり....
(東愛知新聞 2025年9月10日掲載)
新入社員の労務管理について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q このたび新たに法人を立ち上げ、鉄板焼きの....
(東愛知新聞 2025年9月3日掲載)
休職期間満了について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 会社の総務部に勤める者です。私傷病で休職....
(東愛知新聞 2025年8月27日掲載)
学生の国民年金保険料について
ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 私は現在大学2年生で、このたび20歳の誕....
(東愛知新聞 2025年8月20日掲載)
傷病手当金について
日頃よりご質問をいただくことがらについてお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。 Q 定期健康....
(東愛知新聞 2025年8月13日掲載)
半日有給休暇時の残業について
これまで社会保険や労務問題をひも解く「ゆうカフェ」を担当してまいりましたが、今回から実際に寄せら....
(東愛知新聞 2025年8月6日掲載)

国民年金保険に育児免除

新制度を周知する厚生労働省のパンフレット(部分)

来月から開始
自営業やフリーランスなど

 Q 10月から子育て中の自営業者などの国民年金保険料が免除されると聞きました。どのような制度でしょうか?

 A ご質問のとおり、令和8年10月1日から「国民年金保険料の育児免除制度」がスタートします。育児休業中の社会保険料免除については、これまで会社員や公務員などの「厚生年金加入者」が対象で、自営業者やフリーランスなどの「国民年金第1号被保険者」には適用がありませんでしたが、今回、子育て世代の負担軽減を目的に新設されることになりました。

 対象は、1歳未満の子を養育する「国民年金第1号被保険者」の実父母・養父母。自営業者やフリーランスのほか、農業者・学生・アルバイト・無職の方なども対象で、所得制限はありません。

 免除期間は、子を養育することとなった月から子が1歳になる誕生日の前月までの最大12か月間が原則。これにより、実父は出生月から1歳になる前月までが対象で、実母は出産前後の「産前産後期間免除」に続き原則9か月間が育児免除の対象となります。

 ここで、ぜひ知っておきたいポイントが2つあります。1つ目は「保険料を払わないのだから、将来の年金も減ってしまうのでは?」と心配されると思いますが、育児免除の期間は「保険料を全額納付した期間」として扱われ、年金の減額はありません。

 2つ目は、夫婦ともに「国民年金第1号被保険者」の場合、夫婦それぞれが免除の対象となるという点です。

 「子育て中は仕事を減らしたい。でも、国民年金の保険料は払わなければならない。」そんな自営業者やフリーランスの方にとって朗報。対象となる方は、制度開始に備え手続き方法の確認をしておきたいものです。
 
【ミニ知識】
令和8年10月1日より前から子を養育している場合は?

 施行日に1歳未満の子を養育している「国民年金第1号被保険者」は10月1日から子が1歳になる誕生日の前月までが育児免除の対象となりますので、すでに子育て中の方も対象です。忘れずに手続きの方法を確認しておきましょう。

東愛知新聞 2026年9月23日掲載


求職者へのセクハラも企業責任

採用試験の集団面接

来月1日から対策義務化
就活生やインターンも対象に

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 10月から、求職者等へのセクハラ対策が義務化されると聞きました。企業は何をすればいいのでしょうか?

 A 令和8年10月1日から企業に対し「求職者等へのセクシュアルハラスメントを防ぐための取り組み」が求められます。これは会社説明会や面接だけでなく、インターンシップや卒業生訪問など採用活動に関わるあらゆる場面が対象。その優越的な地位を利用し、『私生活についての不必要不適切な質問をする』『会食や交際を要求する』『必要のない身体接触や性的行為をおこなう』などの行為を防止する目的があります。そのため企業には主に次のような対応が求められます。

 ①セクハラを許さない方針を明確にする。
 ②採用担当者やOB・OGなどに方針とルールを周知する。
 ③求職者が利用できる相談窓口を設け、採用サイトなどで知らせる。
 ④相談があった場合は、事実確認や被害者への配慮を速やかに行う。

こうした対応のためにまず実施すべきことは以下のとおりです。

 ・採用担当者を含め採用活動に関わる者の明確化とルールの徹底
 ・OBやOG、インターンシップの指導担当者の明確化とルールの徹底
 ・求職者が安心して相談できる窓口の設置
 ・採用サイトや会社説明資料などへの窓口の掲載

 採用活動は、会社を知ってもらう大切な機会です。企業にとっても求職者にとっても、安心して参加できる環境を整えておきたいものです。
 
【ミニ知識】
「求職者等」の範囲は意外と広い?

 ここでいう「求職者等」とは、単に求人への応募者だけを指すのではなく、就職活動中の学生や転職希望者のほか、インターンシップ利用者や職場体験者など、将来の職業選択につながる活動をおこなう人も含まれます。採用活動では、社外の人が会社を訪れたり、社員と直接話したりする機会も少なくありません。新ルールのスタートを機に、「採用する側」だけでなく「応募する側」の目線で、会社の対応を見直してみるのもよいではないでしょうか。


東愛知新聞 2026年9月16日掲載


社会保険の加入ルール変更

愛知の最低賃金は10月から1195円へ

パートやアルバイト
月額賃金条件の原則
「106万円の壁」撤廃
10月から適用

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Qパートやアルバイトの社会保険が適用される「106万円の壁」がなくなると聞きました。どのような影響があるのでしょうか。

 A令和8年10月1日から、従業員51人以上の企業で働くパート・アルバイトの社会保険(健康保険・厚生年金)加入要件が一部変更となります。まず、現状を確認しておきましょう。以下のとおりです。

 ①週の所定労働時間20時間以上
 ②月額賃金(額面)8万8千円以上=「年間106万円の壁」
 ③2か月を超えて雇用される見込みがあること
 ④学生ではないこと

 このたび変更となるのは②の賃金条件。つまり、月額賃金(額面)8万8千円に満たなくても、週20時間以上働くなどの要件を満たせば加入対象となります。

 すなわち、「106万円の壁」を意識し勤務時間を調整していた方にとって、働き方を見直す機会となるでしょう。

 こうした点をふまえ、契約あるいは実態として20時間未満にすればいいのではと考える事業主やパート・アルバイトがいるかもしれませんが、その基本原則は以下のとおりとなります。

 ●雇用契約書などに定めた「所定労働時間」で判断するのが原則であり、一時的に20時間を超えたり下回ったりしただけで、すぐに加入・脱退とはならない。

 ●ただし、契約上週20時間未満でも、実際の勤務が週20時間以上となる状態が2か月続き、その後も続く見込みがあれば3か月目から加入対象となります。

 つまり、加入させないために契約時間だけを短くするという対応は認められません。

 なお、企業規模の要件も段階的に縮小され、令和9年10月から36人以上、令和11年10月から21人以上、令和14年10月から11人以上となり、令和17年10月には企業規模による要件が撤廃されます。
 
【ミニ知識】
「106万円の壁」って?

 「106万円の壁」とは月額賃金8万8千円を年換算した年額をもとに呼ばれてきたもの。今回の改正で賃金要件がなくなり、今後は「いくら稼ぐか」よりも「週に何時間働くか」がより重要になります。

東愛知新聞 2026年9月9日掲載


愛知は最低賃金1195円へ

愛知の最低賃金は10月から1195円へ

パートやアルバイトにも適用
来月から時給アップ

ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q  10月から最低賃金が上がると聞きました。愛知県ではいくらになるのでしょうか。また、地域によって上がり方が違うというのは本当ですか。

 A  はい。ことしも10月から、都道府県ごとの「地域別最低賃金」が改定されます。引上げ額については、まず国の中央最低賃金審議会が「目安」を示し、それを参考に各都道府県の審議会が最終的な金額を決めます。今回の目安どおりに改定された場合、全国加重平均は現在の1,121円から55円上がり、1,176円となります。

 引上げ額は全国一律ではありません。経済実態などを踏まえ、都道府県をA・B・Cの3ランクに分け、今回の目安はAランクが54円、B・Cランクが56円とされています。地方の引上げ率を都市部より高くすることで、地域間の賃金格差を縮める狙いがあります。

 愛知県はAランクですが、愛知地方最低賃金審議会は、現行の1,140円から55円引き上げ、「1,195円」とする答申を8月5日に行いました。国の目安を1円上回る水準で、10月1日からの発効が予定されています。

 最低賃金は、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどにも原則として適用されます。月給制の場合も、月給を所定労働時間で割って時間額に換算し、新しい最低賃金を下回っていないか確認が必要です。事業主の方は、10月の給与計算に向けて早めに点検しておきましょう。

【ミニ知識】
最低賃金を下回るとどうなる?

 最低賃金を下回る賃金の契約は、その部分が無効となり、最低賃金と同額の賃金を定めたものとされます。事業主は不足額を支払う必要があり、違反した場合には罰金が科されることもあります。

 なお、最低賃金の計算対象となるのは基本的な賃金です。時間外・休日・深夜の割増賃金、賞与、通勤手当、家族手当などは対象から除かれます。

東愛知新聞 2026年9月2日掲載


残業45時間超の指導見直し

企業が健康・福祉確保措置を適切に実施しているかが問われる

来月から
36協定の適正運用が前提

ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 

Q  9月から、残業時間が月45時間を超えても、労働基準監督署から一律に指導されなくなると聞きました。残業を増やしてもよいということでしょうか。

 

A  今回の見直しは、残業の上限規制そのものを緩和するものではありません。9月1日からは、労働基準監督署が「残業時間が月45時間を超えた」という数字だけに着目し、一律に45時間以内への削減を求める指導を見直すというものです。

 

ポイントは、労働時間の「数字だけ」を見るのではなく、企業が36協定に定めた健康・福祉確保措置を適切に実施しているかを重点的に確認する方向へ変わることです。

 

例えば、繁忙期に一時的に残業が増える場合でも、労働時間を適切に把握し、長時間労働者の健康状態を確認するなど、会社が主体的に対応することが大切です。

 

また、過重労働によって健康障害が生じるおそれが高い場合には、これまでどおり必要な指導が行われます。「45時間を超えても指導されないから大丈夫」と考えるのは禁物です。

 

今回の見直しを機に、36協定の内容や残業時間の管理方法、健康確保措置が実際に機能しているかを、今一度確認してみてはいかがでしょうか。

 

【ミニ知識】

36協定の「45時間」って?

 

時間外労働は、36協定を締結していても、原則として「月45時間・年360時間」が上限です。ただし、臨時的な特別の事情がある場合には、36協定に「特別条項」を設けることで、この上限を超えて働くことができます。

 

もっとも、特別条項を設ければ、いくらでも残業できるわけではありません。年720時間以内、時間外・休日労働を合わせて単月100時間未満、2~6か月平均80時間以内など、さらに厳しい上限が定められています。

 

 繰り返しになりますが、今回の見直しはこの「月45時間」という法律上の上限をなくすものではありません。会社には、法令を守ることはもちろん従業員の健康にも配慮した適切な労務管理がこれまで以上に求められます。


東愛知新聞 2026年8月19日掲載


退職前の年休取得

退職予定日が迫る

引き継ぎ出社など
本人と必要な日程を協議

ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 

 Q  退職予定の従業員から「残っている年次有給休暇(以下、年休)をすべて取得したい」との申し出がありましたが、業務引継ぎのための出社を要請することは可能でしょうか。もしそれが可能な場合、出社した日の年休を買い上げるなどの措置は必要でしょうか。

 

 A  年休は労働者が希望する時季に取得することを原則としていますが、事業の正常な運営を妨げる場合には取得時季を会社側の事情で変更することもできます。

 

ただ、退職日を過ぎて取得することはできません。

 

このようなケースでは、まず本人と引継ぎの必要性や日程についてよく話し合い、双方納得できる方法を見出すことが肝要。例えば、引継ぎに必要な日にちや時間について同意を得た上で出社してもらうなどの調整が考えられます。

 

なお、その結果として取得できなかった年休が生じてしまった場合の措置については、買上げが義務付けられているわけでも、退職によって取得できなくなった年休に対し会社が任意に金銭を支払うことが禁止されているわけでもありません。つまり個別対応が容認されており、引き継ぎ協力が必要な場合には、本人とよく話し合う必要があります。

 

退職時の引継ぎは、会社にとっても従業員にとっても大切な節目。年休の取得をめぐっては一方的に判断するのではなく、早めに相談し、双方が納得できる方法を探すことが求められます。

 

【ミニ知識】

年休の「買い上げ」は自由にできる?

 

年休は「休むため」の制度です。そのため、年休を取得させない代わりに、あらかじめその分を買い上げることは認められていません。ただし、上記のように退職などによって取得できなくなった年休分を会社が任意に買い上げることは可能。反対にいえば、会社に買い上げの義務があるわけではない点にも留意しましょう。

東愛知新聞 2026年8月19日掲載


長期療養や低所得者へ支援強化

今月から見直された高額療養費制度

今月から
高額療養費制度の改正

ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 医療費が高額になった場合に適用される「高額療養費制度」が変更されたと聞きました。改正内容や利用時の注意点を教えてください。

 A 「高額療養費制度」とは、病気やケガで医療費が高額になった場合に家計負担を軽減する制度。健康保険が適用される医療費について、歴月の自己負担額が『限度額』を超えた場合、超えた分が支給される制度です。

 制度が見直されたのは令和8年8月、つまり今月のこと。医療費の増大に対応しながら制度を維持するとともに、長期療養者や低所得者への支援の強化を目的に二つの点が改正されました。

 一つ目は「自己負担限度額の見直し」です。『限度額』は誰に対しても一定ではなく、所得区分ごとに月額自己負担限度額が定められることになっています。医療費の伸びなどを踏まえ一部の区分では負担額が引き上げられるケースもありますが、低所得者への影響を抑える仕組みとなっています。

 二つ目は、「年間上限の新設」です。これまでは歴月ごとの自己負担額が基準でしたが、このたび8月から翌年7月までの1年間を単位とした『自己負担額の上限』が設けられました。月ごとの負担は『限度額』に届かなくとも、治療が長期化した場合の自己負担軽減につながります。

 なお、過去12か月以内に3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目以降の自己負担額が軽減される『多数回該当』の仕組みはこれまでどおりです。

 今回の見直しは、短期的な負担の一部を見直す一方で、慢性疾患など長期間治療を続ける方への支援を充実させ、セーフティネット機能を強化するもの。自身がどの所得区分に該当するは、マイナポータルにログインすることで健康保険証に関する情報から確認する確認することもできます。

【ミニ知識】

 窓口負担を抑える方法

 

 入院などで医療費が高額になる場合、「限度額適用認定証」を利用すると、医療機関の窓口負担を自己負担限度額までに抑えることができます。また、マイナ保険証を利用している場合は、本人の同意により、限度額適用認定証がなくても同様の取扱いを受けられます。ただし、入院時の食事代や差額ベッド代など、健康保険の対象とならない費用は適用されません。

東愛知新聞 2026年8月5日掲載


産業医の退任など届出

職場の健康管理を担う産業医

8月1日改正
職場全体の健康管理が目的
労働所50人以上の事業所は報告義務

 Q 産業医が退任した場合の手続きが変わると聞きましたが、どのような内容ですか。

 A 令和8年8月1日から、産業医に関する手続きが見直されます。労働安全衛生規則の改正により、事業者は産業医が辞任・解任・退任した場合、所轄の労働基準監督署へ氏名や辞任年月日などを報告しなければならなくなります。

 常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の選任が義務付けられており、選任事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく労働基準監督署へ届け出なければなりません。違反した場合は、50万円以下の罰金が科されることがあります。

 これまで、前任の産業医が辞任・退任しても、その事実を届け出る制度はありませんでした。そのため、後任者が適切に選任されているか行政が把握できないケースもありました。今回の改正は、こうした状況を改善し、産業医の不在を防ぐことが目的です。

 ただし、前任者の辞任等と同時に後任者を選任し、従来どおり選任届を提出する場合は、辞任等の報告は不要です。新たな届出が必要となるのは、後任者の選任届と同時に報告できない場合に限られます。

 なお、労働者数が50人未満となり産業医の選任義務がなくなった事業場では、辞任等の報告義務はありませんが、行政は「報告を行うことが望ましい」としています。

 対象事業場では、交代時に手続き漏れが生じないよう、選任期限や届出の流れを改めて確認しておきましょう。

 

【ミニ知識】

 産業医の役割

  
 産業医は、健康診断の結果に基づく就業上の意見や、長時間労働者への面接指導、職場巡視などを通じて、労働者の健康確保を支援する医師です。診療を行う「会社のお医者さん」というより、職場全体の健康管理を専門的に助言する役割を担っています。



東愛知新聞 2026年7月22日掲載


高齢者採用助成へ追加要件

厚生労働省のリーフレット(部分)

特定求職者雇用開発助成金制度
新たに「個別支援」が必要

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 「特定求職者雇用開発助成金」について、高年齢者の対象要件が見直されたと聞きました。その内容を教えてください。

 

 A  高年齢者や障害者、母子家庭の母など、就職が困難な方を雇用した事業主を支援する「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」について、令和8年5月1日以降、高年齢者(60歳以上)の対象要件が見直されました。

 

 この制度は「ハローワークなどからの紹介」を前提としたもので、高年齢者については「雇入れ時に60歳以上であること」が主な要件でした。これに、令和8年5月1日以降は「紹介日時点でハローワーク等による就職に向けた個別支援を受けている」ことが追加されています。高年齢者の採用を予定している事業主は、紹介時点で対象者が要件を満たしているか、あらかじめ確認しておくことが重要です。

 

 なお、この「個別指導」要件は、高年齢者のみが対象。障害者や母子家庭の母などの助成条件には適用されません。

 参考までに助成額は、中小企業の場合、高年齢者や母子家庭の母等は最大60万円、身体・知的障害者は最大120万円、重度障害者や45歳以上の障害者、精神障害者は最大240万円が支給となります。助成額や支給期間は対象者や企業規模によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。

 

 受給するためには「ハローワークなどの紹介による採用」が前提となる上、採用後も支給対象期間(6カ月)ごとに申請が必要となります。求人募集の段階から紹介機関と連携し、対象要件を確認しながら進めることが、制度を有効に活用するポイントといえるでしょう。

 

【ミニ知識】

 支給申請時の「賃金台帳」提出が必須に

 

 令和8年4月以降、特定求職者雇用開発助成金(全コース共通)の申請では、賃金台帳の提出が必須となりました。提出が確認できない場合は助成金が支給されません。賃金台帳は、労働基準法で作成・5年間の保存が義務付けられている法定帳簿です。日頃から適切に整備・保管し、申請時に速やかに提出できるよう準備しておきましょう。


東愛知新聞 2026年7月15日掲載


事業主へカスハラ対策義務化

土下座させられる男性
10月から改正労働施策総合推進法
従業員を守る安心の職場づくり

ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

Q 厚生労働省の指針により、今年の10月1日からカスタマーハラスメント対策が事業主に義務付けられると聞きました。会社としてどのような準備を進めればよいのでしょうか。

A ご指摘のとおり、令和8年10月1日からカスタマーハラスメント対策がすべての事業主に義務付けられます。これは改正労働施策総合推進法によるもので、顧客等による暴言や過度な要求、長時間の拘束、SNS上での誹謗中傷などによる従業員の休職や離職を防ぎ、安心して働ける職場づくりを図ること、ひいては企業の信頼向上と人材定着を目的としています。

カスタマーハラスメントとは、顧客等による言動(電話やインターネットを通じたものを含む)のうち社会通念上許容される範囲を超え労働者の就業環境を害するものを指します。具体的には、不当な損害賠償請求や暴言、脅迫、土下座の強要、執拗なクレームなど該当します。これに対抗するため、事業主には以下の対策が義務づけられることになりました。

・カスタマーハラスメントを許さない方針の明確化と従業員への周知・啓発

・相談窓口の設置など、相談に適切に対応できる体制の整備

・事案発生後の迅速な事実確認や被害者への配慮、再発防止策の実施

・悪質なカスタマーハラスメントを抑止するための対応方針・体制の整備

・相談者のプライバシー保護や、不利益な取扱いを禁止するための措置

今回の義務化を機に、相談体制や対応ルールづくりを進めたいものです。

【ミニ知識】
「クレーム」と「カスハラ」は違う

クレームとカスハラは異なります。苦情や商品並びにサービスの改善を求める申出が社会通念上ありうる範囲で内容が正当であれば、通常のクレームとして真摯に対応する必要があります。一方、暴言や脅迫、長時間の拘束など社会通念を超えるものはカスハラですので毅然と対応することが重要です。


東愛知新聞 2026年7月8日掲載



中小事業主も労災保険加入可

建設業の現場
自ら現場で同様の危険
特例制度を適用

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 労災保険についての質問です。中小企業の事業主も労災保険に加入できると聞きました。どのような規定なのでしょうか?

 A ご指摘のとおり、中小事業主も労災保険に加入できますが、『特別加入制度』という特例を適用することになります。

 そもそも、労災保険は「労働者」が仕事中や通勤途上において負傷・疾病・死亡した場合に補償を行う制度であり、「事業主」は原則として対象外です。

 しかし、「中小企業の事業主や家族従事者ならびに一人親方」などは自ら現場で作業を行うことも多く、「実態として労働者と同様の危険」にさらされています。このような事情を踏まえ、一定の要件を満たす場合には例外的に労災保険へ加入できる『特別加入制度』が設けられています。

 「中小企業の事業主」とは、金融業・保険業・不動産業・小売業では常時50人以下、卸売業・サービス業では100人以下、それ以外の業種では300人以下の労働者を雇用する事業主など。『特例加入制度』を適用するには、労働者の労災保険が成立していることに加え、労働保険事務組合への労働保険事務委託が欠かせません。
『特例加入制度』の補償内容は、原則一般労働者と同様で、業務災害や通勤災害が認められれば、療養補償や休業補償などの給付を受けることができます。
保険料は、希望する給付基礎日額(3,500円~25,000円)に応じ、業種ごとの保険料率を乗じて決まることになります。
現場で作業を行う経営者にとって、労災事故は事業継続にも大きな影響を及ぼします。万一に備えたリスク対策として検討する意味は小さくありませんが、株主総会や役員会に出席するなど経営者としての業務中の災害は該当しませんので注意が必要です。
【ミニ知識/建設業では…】
建設業では、元請会社が安全管理の一環として、下請事業主や一人親方に特別加入を求めるケースが増えており、現場によっては『特別加入証明書』の提出が入場条件となる場合もあります。

東愛知新聞 2026年7月1日掲載


給付実績をもとに保険料増減

労災保険の請求書
安全対策を反映し安心な職場づくり
労災保険「メッリット制」

ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 今年も労働保険の申告書が届きました。同封案内の中に「労災保険のメリット制について」とありましたが、どのような制度なのでしょうか?

 A 労災保険の「メリット制」とは、事業場ごとの労働災害の発生状況に応じ労災保険料を増減させる制度のこと。災害が少ない事業場は保険料が軽くなり、多い事業場は重くなる仕組みとすることで、事業主間における負担の公平化を図るとともに、労働災害の防止を促すことが目的となっています。普段私たちが利用している自動車保険と似ている制度といってもいいでしょう。

 その保険料率は過去3年間の保険料と保険給付の実績から算出される「収支率」に基づき見直されることになっており、収支率が低ければ保険料率は引き下げられ、高ければ引き上げられます。なお、増減幅は原則最大40%となっています。

 この「メリット制」は全事業場に適用されるわけではなく、一般的な会社や工場などの「継続事業」と、建設工事などをまとめて扱う「一括有期事業」、さらに大規模工事などの「単独有期事業」を対象に、一定の規模や保険料額などの要件が設けられています。

 また、中小企業向けには「特例メリット制」、なるものがあります。これは以下の4要件を満たしている場合、保険料率の増減幅が最大45%まで拡大される制度です。

 ・「メリット制」が適用される継続事業である
 ・中小事業主である
 ・安全衛生確保のための所定の措置を講じている
 ・適切な期間内で申告をしている

 労災保険の「メリット制」は、安全対策への取り組みを保険料に反映させることで安全で働きやすい職場づくりを後押しする制度といえます。

 【ミニ知識】
特例メリット制の申請手続き

 「特例メリット制」の適用には上記4要件を満たしたうえで、以下の2段階手続きが必要となります。

 ① 所定の安全衛生措置を講じたことの確認(都道府県労働局安全衛生主務課で安全  衛生措置の実施確認を受ける)
 ② 「特例メリット制」の適用申告(上記の安全衛生措置の確認後、労働保険徴収主務課に申告する)

東愛知新聞 2026年6月24日掲載


待遇差を見える形で説明

待遇差の見える化」と「説明責任の強化」がポイント
同一労働同一賃金が10月からルール改正
仕事内容など合理性検証

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 「パートタイム・有期雇用労働法」が改正されると聞きました。いつどのように変わるのか教えてください。

 A ご質問のとおり、令和8年10月1日から「同一労働同一賃金」に関するルールが見直されます。パートタイマーや契約社員などの待遇改善のため「待遇差の見える化」と「説明責任の強化」が目的。主な改正点は3つあります。

 一つ目は、「労働条件明示事項の追加」です。事業主はパートタイマーや有期雇用労働者を採用する際、「正社員との待遇差の内容や理由について説明を求めることができる」旨を新たに明示しなければなりません。これにより、労働者は待遇に疑問などがある場合、会社側に説明を求めやすくなります。

 二つ目は、「同一労働同一賃金ガイドラインの改正」です。改正により、賞与や福利厚生施設に関する説明が充実されるほか、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季・冬季休暇、褒賞などについて新たな考え方や具体例が追加されます。待遇差について、仕事内容や責任の程度などをもとにした合理性の検証することが求められます。

 三つ目は、「待遇差に関する説明方法の見直し」です。事業主は説明を求められた場合、待遇差の内容や理由について資料や文書を活用し分かりやすく説明する必要があります。

 今回の改正は労働者の納得感を高めるとともに不合理な待遇差の是正を進めるもの。会社には、自社の待遇制度や説明体制を点検し、必要な見直しを進めることが求められます。
 
 【ミニ知識】
「同一労働同一賃金」とは?

 同一労働同一賃金とは、正社員やパートタイマー、契約社員などの雇用形態を理由に不合理な待遇差を設けてはならないことのルール化を指します。

 給与や賞与、手当、福利厚生などが対象となりますが、待遇差自体が問題なのではありません。重要なのは、「仕事内容や責任の違いに応じた差であること」「その理由を説明できること」です。つまり、待遇差に納得できる理由を明確にする必要があります。

東愛知新聞 2026年6月17日掲載


有給休暇の分割は限定的

有給休暇の分割付与ができるのは新入社員だけ
労基法上は入社6カ月後
要件満たせば前倒し付与可

ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 先日、「年次有給休暇の分割付与」という話を耳にしました。その留意点について教えてください。

 A 近年、人材確保や定着率向上を目的として、入社直後の社員に年次有給休暇を付与する企業が増えています。中でも注目されているのが「有給休暇の分割付与」。新入社員が、急な体調不良や家庭の事情で休まざるを得ない場合でも欠勤扱いを避けられることから中小企業を中心に導入が広がっています。

 労働基準法上の有給休暇のルールは、「入社後6か月継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤」して初めて発生することになります。例えば4月1日入社の場合、「基準日」となる10月1日に10日間の有給休暇を付与します。

 これに対し「分割付与」とは、この「基準日」に先立ち一部を前倒する制度のこと。例えば、入社当日に5日間、6か月後に残り5日を付与するといった方法で、新入社員に限り一定の要件を満たせば認めると行政通達が出されています。

 これと並び、将来発生予定の有給休暇を社員の希望に応じ先に使用させる「前借付与」という方法を聞くこともありますが、この「前借付与」には法的根拠がないので注意が必要です。

 年次有給休暇は「基準日」をもって法定日数が付与されるのが原則。あらかじめ「基準日」より前に付与したため本来の付与日数から差し引くことができるのは「新入社員」に限られます。

 なお、「分割付与」を実施した場合、次年以降の「基準日」は前倒しされますので注意が必要です。例えば上記の場合、4月1日に「分割付与」すると、翌年以降の「基準日」は10月1日ではなく4月1日となり、法定より早く有給休暇が付与されることになります。
 
 【ミニ知識】
 時間単位年休と分割付与との違い

 有給休暇を時間単位で取得できる制度として「時間単位年休」があります。これは、1日の有給休暇を1時間単位に細分化し取得できる法的制度です。「分割付与」とは制度趣旨や法的取扱いが異なりますので混同しないよう注意が必要です。


東愛知新聞 2026年5月27日掲載


法律で定め「有給休暇」条件

有給休暇は入社6カ月後から
前倒し付与に注意が必要
入社6カ月後から取得が可能
労働基準法

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q  今年4月入社したばかりの新入社員が体調不良でお休みしました。まだ有給休暇がありませんが、前倒しして付与してもいいのでしょうか?

 A 入社したばかりの社員が体調不良などで休まざるを得なくなるケースは少なくありませんが、入社直後はまだ年次有給休暇が付与されていないため、欠勤扱いとなり賃金が支払われないこともあります。こうした場合、「なんとかできないか…」と思うのは人情。「この先付与される有給休暇を前倒しできないか?」と考えがちですが、注意が必要です。

 労働基準法では「入社後6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した社員」に対し有給休暇の付与が義務付けられています。そこで、「相殺」できればいいのではないかと考えがちですが、これは原則法的に認められません。

 たとえば、4月1日入社なら10月1日から10日間の有給休暇が与えられますが、この基準日となる10月1日より前に2日分を先に取得するので、その後10月1日付与の有給休暇から2日分を引き算して8日にすれば辻褄が合うという処理です。

 これが原則的に法律に反する理由は、労働基準法が「強行法規」であるため。会社と社員が合意していても、法律で定める最低基準を下回ることはできません。つまり、基準日には法定の10日をきちんと付与する必要があり、前借り分を差し引いて8日しか付与しない運用は、法令違反となるおそれがあるのです。

 近年は、有給休暇の年5日取得義務などもあり、行政チェックも厳しくなっています。「社員のため」と考えた運用でもトラブルにつながりかねませんので制度設計には注意が必要です。

 【ミニ知識】
 法定を上回る付与日数は?

 法定を上回る有給休暇を独自に付与する会社も見受けられます。例えば、本来10日のところを12日付与しているのであれば、上乗せした2日分については会社独自の制度として前借り運用を行う余地があります。ただし、この場合でも基準日には法定の10日を確実に付与することが重要。前借り制度には、就業規則の整備や運用ルールの明確化を含めた慎重な対応が求められます。


東愛知新聞 2026年5月20日掲載


賃金の端数処理にルール

賃金の端数処理は公平性が重要
労働基準法
就業規則や規程に明記も

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 人事労務担当者です。前回の給与計算における「労働時間の端数処理」に引き続き、「賃金単価の端数処理」ついて教えてください。

 A 毎月の給与計算では、残業代や各種手当を算出する過程で細かな「端数」が発生することがあります。一見わずかな金額ですが、処理方法を誤ると本来賃金との差異が生じ問題となることがあります。

 労働基準法の行政通達によると、1時間あたりの賃金額や割増賃金額に「1円未満の端数」が生じた場合は、以下の処理が可能としています。

 ① 5 0銭未満は切り捨て

 ② 50銭以上は切り上げ

 例えば、割増賃金が1,799円49銭であれば1,799円に、1,799円50銭の場合は1,800円とすることが可能。この違いは僅少ですが、統一運用は公平性を保つこと、従業員との認識のズレを防ぐことにつながります。

 また、月ごとの給与総額について、あらかじめ就業規則や賃金規程に明記しておくことで一定の端数処理を行うことも認められています。

 その一つが、控除後の支給額に100円未満の端数が生じた場合、50円未満は切り捨て、50円以上は100円へ切り上げる方法。支給額が40万1,111円の場合は40万1,100円に、40万1,175円の場合は40万1,200円にすることができます。

 また、おなじく就業規則や賃金規程に明記のもと、控除後の支給額に1,000円未満の端数がある場合、その端数を翌月の給与へ繰り越す方法。支給額が21万545円であれば545円を翌月支給分へ繰り越すことができます。

 これらのルールは、現金支給が一般的だった時代のからのもの。今や、そろばんをはじいたり現金を封筒に入れて支給することは少なくなりましたが、制度として有効となっています。

【ミニ知識】
 1カ月平均の所定労働時間数の端数

 月給者における時間当たり賃金額を計算する際、月額を1か月の平均所定労働時間で割って算出しますが、1カ月平均の所定労働時間数の端数を切り上げると、1時間あたりの賃金が少なくなり、労働者にとって不利になるため、端数はそのままにするか、切り捨てて取り扱うこととされています。


東愛知新聞 2026年5月13日掲載


労働時間の原則は1分単位

労働時間把握は原則、分単位で
1ヶ月合計で計算
端数処理にルールあり

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 会社の人事労務担当者です。給与計算を行う際の「労働時間の端数処理」について正しい方法について教えてください。

 A 労務管理の基本は労働時間の正確な把握であることは言うまでもありません。賃金は実績に基づいて支払われるものですから、「労働時間の端数処理」を誤ると、本来の金額との差異、つまり過不足が生じトラブルに発展するおそれがあります。

 原則として、労働時間は1分単位で把握しなければなりません。これは通常の労働時間だけでなく残業時間も同様で、「5分未満は切り捨てる」「10分未満は残業として扱わない」といった簡略化した端数処理は原則認められません。法的に違反となります。

 ただし、残業時間については一定条件のもとでの端数処理が認められており、1か月間の時間外労働・休日労働・深夜労働のそれぞれの合計時間において、1時間未満の端数が生じた場合、「30分未満は切り捨て」「30分以上は1時間に切り上げる」ことができます。なお、この処理は月単位の合計に対してであり、1日ごとに行うことはできませんので注意が必要です。

 また、端数処理は労働者にとって公平である必要がありますので、切り捨てだけを適用し切り上げを対象としないといった扱いは認められていません。

 例えば、ある月の残業が3日あり、それぞれ16分、31分、25分だった場合、まずはすべてを合計(1時間12分)したうえで、端数の12分を切り捨てて「1時間」として扱う一方、合計が1時間31分となった場合は「2時間」とみなすことになります。
 
【ミニ知識/遅刻】
 早退した時間の端数処理

 遅刻・早退についても労働時間の端数が生じることがありますが、遅刻・早退時間については「端数処理は認められない」ため、原則どおり1分単位で遅刻・早退時間を把握し、それに対する賃金を計算して控除する必要があり、計算を簡略にするために30分未満の遅刻・早退時間を30分に切り上げて控除するような運用は労働基準法に違反しますので注意しましょう。


東愛知新聞 2026年5月6日掲載


長期育児休業後の離職

育児休業の幸せな形
雇用保険の特例
条件満たせば失業給付

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 育児休業を2年ほど取得した社員が、やむを得ない事情により職場復帰することなく退職しました。本人より、離職票の発行依頼がありましたが、失業給付は受けられるのでしょうか?

 A 育児休業を長期間取得した社員が、ご質問のようなケースで職場復職せずに退職した場合、一定条件を満たせば失業給付(基本手当)を受給することができます。

 失業給付の原則的な受給条件は、離職前2年間に「賃金基礎支払日数が11日以上ある月」が通算12か月以上あることですが、その2年間に賃金支払いのない期間があり「やむを得ない理由」が認められると、対象期間の延長ができます。そのひとつが育児休業です。

 対象期間の延長とは、原則の2年間に加算し最大で4年間まで認められ、その間に必要な12か月分を満たせば受給資格を得ることができます。

 そもそも失業給付(基本手当)とは、離職後に働く意思と能力があるにもかかわらず就職できない場合に支給される制度のため、こうした要件も満たす必要があります。

 離職票の作成にあたっては、通常とは異なる取扱いとなるため、制度の特例を正しく理解し、育児休業期間の取扱いや記載方法、必要書類の確認に注意が必要。適切に対応することで、本人が円滑に失業給付を受けられるようになり、トラブル防止にもつながります。制度を正しく理解し、丁寧な手続きを行うことが求められます。
 
 
【ミニ知識】
被保険者期間とは…

  雇用保険における被保険者期間にカウントできるのは、雇用保険に加入していた期間のうち、離職日から遡さかのぼった1か月ごとに区切っていった期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月です。11日未満の月はカウントされませんので注意が必要です。


東愛知新聞 2026年4月22日掲載


ストレスチェック義務化へ

従業員のストレスに配慮を
改正労働安全衛生法
この先すべての事業所で実施予定

 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 「ストレスチェック」の実施が、労働者数50人未満の事業場にも義務化されると聞きましたが、具体的にどのような準備が必要でしょうか?

 A 現在、労働者50人以上の事業場には「ストレスチェック」の実施が義務化されていますが、令和7年の改正労働安全衛生法を踏まえ、労働者数50人未満の事業場にも実施が義務化されることになり、厚生労働省ではこれにあわせ「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しています。

 マニュアルでは、制度導入から運用までの流れが以下のとおり整理されており、小規模事業場でも無理なく対応できる内容となっています。

①ストレスチェック制度の実施に向けた準備

②ストレスチェック制度の実施体制・実施方法の決定

③実施

④医師の面接指導及び事後措置

⑤集団分析・職場環境改善

⑥労働者のプライバシーの保護

⑦不利益取扱の禁止

⑧外部委託ではなく自社で実施する場合の留意点

 また、巻末には、社内ルールとして活用できる「実施規程」のひな形や、外部機関へ委託する際の「サービス内容事前説明書」のモデルも掲載されており、実務に配慮した内容となっています。

 なお、小規模事業場では労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの外部機関委託が推奨されていますが、自社で実施する場合には、個人情報の管理や運用体制について、より慎重な対応が求められますので注意が必要です。
 
 【ミニ知識】
 施行時期

 改正法は公布日から3年以内に施行されるため、最も遅くて2028年5月14日までに実施される予定です。今後すべての事業場が対象となりますので、義務化に向けて、マニュアルを活用しながら早めに準備を進めていくことが重要です。


東愛知新聞 2026年4月15日掲載


労災に健康保険を使ってしまったら

通勤労災でリハビリ中の診察券
健康保険で受診した場合
保険の切り替えが必要
 ご質問にお答えする「ご用件をどうぞ」のコーナーです。

 Q 仕事帰りにケガをした従業員が病院に直行し治療を受けました。通勤途上でしたので「労災保険」の適用を窓口で伝えるべきでしたが、認識が乏しく「健康保険」を使ってしまいました。どうすればいいでしょうか?

 A 通勤途上や業務中のケガには「健康保険」ではなく「労災保険」が適用されますが、誤って健康保険で受診してしまうケースは少なくありません。そのような場合、以下の手順で「労災保険」への切り替えをおこなう必要があります。

 受診した医療機関に対し「労災である」ことを伝えます。労災指定病院でない場合や切り替えができない場合は、本人が治療費の全額をいったん負担し、その後「療養給付たる療養の費用請求書」を労働基準監督署へ提出して払い戻しを受けることになります。その場合、領収書の原本添付が必須となります。

 労災指定病院であり、健康保険から労災保険への切り替えが可能であれば、所定の請求書を病院へ提出することで、支払済みの自己負担分が返金されます。

 労災指定病院であっても、受診のタイミングなどの理由により切り替えができないことがありますが、その場合は健康保険の保険者(協会けんぽや健康保険組合)へ労災である旨を申告し支払済みの自己負担分の返金を受け、そのうえで改めて労災として費用請求を行います。その場合、3割自己負担分と7割返金分それぞれの領収書と診療報酬明細書(レセプト)の提出が必要となります。
 
 【ミニ知識】
薬局については

 こうしたことは薬局についてもあてはまります。労災指定かどうかによって手続きが異なりますが、基本的な流れは同じです。いずれにしても、とても煩雑な手続きとなりますので日頃から「労災の場合は必ず申し出ること」「領収書を保管すること」「できるだけ労災指定医療機関を受診すること」を認識しておきたいものです。


東愛知新聞 2026年4月8日掲載



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